日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2022年11月23日話す目的を意識していますか?

★あるIT会社での議論


コロナ感染拡大以降、在宅勤務が普及してきましたが、ここに来てオフィスへの出社も増えているようです。企業の対応にもばらつきが見られますので、一概にどちらが正解とは判断できないようです。そうすると、会社毎の事業内容や価値観などに沿って個々に対応を決めていくことになります。既にそういう議論を始めている会社も少なくないと思われますが、その際の参考となりそうな話しがありますのでご紹介します。IT関連の会計サービスを提供している会社がオフィスへの出勤と在宅勤務のバランスをどう取るのかというテーマで議論をしたそうです。



在宅勤務には、
・通勤がない分時間に余裕ができて心身への負担が軽減される
・電話がかかってこないし人から話しかけられないので仕事に集中できる
などのメリットがあることは、よく言われていることです。
しかし、一方で、
・仕事以外の社員コミュニケーションが減った
・面識がない社員とオンラインで話をすると表情などが読みづらく気を遣う
・コミュニケーションがメールなどのテキスト中心なので感情面が把握しにくい
といった課題もあります。
実際、この会社の議論でも、リアルで会えばフレンドリーな人も、オンラインでミーティングしている際の表情は堅くて怖い、クールな雰囲気で取っつきにくい、という意見が出ました。



★社長の一言


社員は様々な意見を出しながら、今後、出社と在宅をどういう形で進めていくべきか議論しました。当初、「生産性を重視して全面的に在宅勤務にすべきだ」「社員コミュニケーションを保つために週1回は出社すべきだ」といった議論が続きました。
果てしない議論が続いて社員が疲れてきた頃、この会社の社長が「生産性や合理性の話だけでなく、僕たちはどんな会社をつくりたいのか?仕事を通して我々がどう成長し楽しむのか?を考えよう」と発言したのです。そして、この言葉がきっかけとなってみんなが納得できる働き方に関するコンセプトができました。



★常に目的を意識する


私たちは会議の場などで発言する際に、事実の報告や対応すべきことなど目先のことにとらわれる傾向があります。例えば全社員が集まるイベントを企画する場合でも、何をするか、どういう風に盛り上げるか、という点にばかり目が行きがちです。しかし、そのイベントには必ず開催する目的があるはずです。その目的=何のためにやるか、そのイベントが終わった後、我々はどういう状態になっていたいのか、ということを絶えず念頭に置きながら議論をせねばなりません。
何のためにやるのか、どうしたいのか、どうなりたいのか、ということをしっかりと定めると、その後の具体策を議論する際の判断軸ができます。ああでもない、こうでもない、という堂々巡りの議論になってしまうのは、概ね、判断軸がないことが原因です。目的やあるべき姿が明確になれば、どうするか、の議論の際に判断が容易になり、合意しやすくなります。


「話す目的」は会議での議論だけでなく、他の話す場面で常に意識せねばならないことです。例えば、部下が仕事でミスをした場合、上司は「お前はどうしてミスばかりするんだ!」などと言ってしまいます。しかし、この場面で上司が話す目的は、部下が二度とミスをしないようにすることです。この目的を意識していれば、「期日通りに資料ができたし、文章もわかりやすいね。ただ、数字の見直しをキチンとしないと今回のようにお客様に迷惑をかけるからその点、注意してもらいたい」と言えば、目的に沿った話をすることができるでしょう。
話す目的を是非意識してください。



★話す際の心構えを学びませんか?


日本話し方センターのカリキュラムには、話しのテクニックだけでなく、話を相手に受け入れてもらうために必要な心構えなども丁寧に解説しています。人間関係を改善したいと思っている方にはぜひ受講いただきたい内容です。過去の受講者もその効果を実感されています。ぜひ受講者の声をご確認ください!

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